以前執筆した世界中が借金漬けになっているという記事に多くのメッセージをいただいた。
もとは都市部に住んでいたが僻地や離島、自然豊かな森の中に住居を構えて、今の世界の終わり(審判の日)に備えている人々がいる。
彼らのことを「プレッパーズ(世界の滅亡に備える人々)」という。
プレッパーズの人口は増加の一途を辿っているが、日本の中だけで暮らしている以上、プレッパーズの用心深さは病的で異常だと思うだろう。
しかし彼らは決して精神異常でもなければ過激派でもないのだ。
今回は、迫っている経済崩壊へ備えるためにあなたができる実践的なステップを書いていこう。
1. 負債から脱出しておく
何はともあれこれは必ず早期達成すべきミッションだ。
「借り手は貸し手の下僕である」という俚諺はこの上ないほどに真実であり、これは個人間だけでなく国家間についても言えることだ。
世界経済の崩壊から身を守るための秘訣は、自分や家族をできる限り独立した存在にしておくことである。
あなたがなんらかの負債(借金やローン)を抱えている限り、詐欺的ともいえる金融システムから完全に自由であるとはいえない。
いざ事態が悪くなり世の中が深刻なセンチメントに陥ると、銀行などの債権者はそれまでの態度から豹変する。
そしてあなたを追いかけまわす厄介な存在になることは、バブル崩壊後の貸しはがしで多くの経営者が経験したことだ。
2. 複数の収入源を確保する
米国ではIRA(個人退職年金)の誕生に伴い、もはや雇用の保障というものは存在しない。
これは日本の現状をみてもそうだろう。
もしあなたが日本は世界とは違う、自分の雇用は保障されており安泰だと考えていたり、生活や人生設計に必要な収入の100%を本業のみに依存しているなら、それは良い戦略とはいえない。
副収入を得る方法は何千通りもある。
絶対に避けるべきなのは、1つのかごに人生のすべてを盛り込んでしまうことだ。
組織に忠誠を尽くすあまり、「商社は永遠だ!」と叫びながらビルから飛び降りたエリート商社マンの話がある。
本当のところ、彼はエリートだったのだろうか?
今は優秀な働き手であったとしても、経済が崩壊して不運にも職を失ったときに、あなたは貧困に転落するか、それとも大丈夫か。
本業の1/3でも別の収入源を確保しておければ変わってくる。
冷静さを失わなければ、必ず打開策を講じることができる。
もしあなたが現状でどんなことができるのかについてサポートが必要なら、遠慮なくコンタクトしてほしい。
3. 支出を減らす
先進国における多くの人が不毛なラットレースに別れを告げて、それまでの生活水準の1/4にしてでも楽しく暮らせる方法を見つけ出している。
それは可能なのだ。
肝心なのは、今から支出を抑えた生活に慣れておくということである。
トレンドとして将来的には今よりますます厳しくなることはまず間違いないので、無駄なものは徹底的に省いて今より少ない金額で生活することを学んでいこう。
しかしぼくが節約するべきではないと考えるのは、みずからの人的資本に対する投資である。
すなわち、スキル、知識、健康だ。
実際には生活が厳しくなるとこれらを真っ先に削る人が多いが、「貧すれば鈍する」という言葉を忘れないでほしい。
4. 自給自足の方法を学ぶ
先進国の人々の大部分の食生活は、スーパーマーケットに足を運ぶことに完全に依存している。
しかし日本円の価値が劇的に下落し、その購買力が失われてしまったとき、1,000円を支払っても腹を満たせるだけのパンを買えないとなればどうなってしまうだろうか。
あなたが自身や家族の食べ物を育てる方法を学ぶなら、たとえそれが小さな庭であっても、タダ同然で借りた農地であっても、食料価格の高騰とは距離を置いていられる。
5. 確実な水の供給を確保する
世界中で水がどんどん貴重になっている。
水はこれからすぐに「もっともホットな」コモディティーになるだろう。
最近は米国でさえ、水不足のニュースが多くなっている。
未来に向かって進むにつれ、あなたと家族は信頼できる水源を持つことが不可欠になっていく。
雨水を飲料水にする方法を学んだ人もいれば、家族に水を供給するために大気造水機のような先端技術を使っている人もいる。
あなたが何をするにしても、今後何年もの間まともな水源なしでいることのないようにしよう。
6. 土地を買う
土地の値段は場所によってまちまちだ。
もし地価が低迷しているときに買うことができれば、日本円が暴落したとき(つまりインフレ)に起こる住宅価格の高騰からあなたを守ってくれるだろう。
日本の場合は不動産事情がやや複雑だが、少なくとも土地は現物なので、紙幣や株式のように価値がゼロになることはない。
7. 現物を買う
現物といえば、なにを差し置いてもまずは金(ゴールド)と銀(シルバー)だ。
ペーパーアセットがバブル状態にあるといわれて久しいにもかかわらず、ほとんどの人が日本紙幣を金や銀などの現物に換えていないことには驚きを隠せない。
現在、金、銀ともに手ごろな価格になってきている。
「まずはじめに自分に支払う」ことを始め、この種の資産を加えはじめたほうがよい。
金銀レシオを学び始めるのもよいだろう。
8. 部分的にグリッドをオフにする
ますます多くの人がオフ・グリッド生活を目指している。
つまり、電力会社の電気網から外れることをいう。
これが本質的に意味するところは公益事業会社から独立して生活するということだ。
部分的にでも自身でエネルギーを生産することができれば、隣人が公共料金が上がって生活を圧迫していると苦しんでいるときにも有益なアドバイスをしてあげることができる。
9. 保存食品、生活消耗品を蓄える
保存品は確実に価値が上がるひとつの投資となる。
とはいえ、物価が途方もなく高くなったときに転売して儲けよう、という話ではない。
物価が安定しているうちに保存品を余分に買っておいて、インフレ時に買わなくてもいいようにしておくということだ。
将来、これらの値段が2倍、3倍(あるいは10倍)となってしまう前に買い足しておくことは、「ひと財産」となるかもしれない。
あなたのお金が今よりもストレッチすることは決してないからだ。
10. より強い人間関係を築く
日本はとても排他的なコミュニティーになってしまっている。
「個」がなによりも優先され、生身の人間関係がますます希薄になりつつある。
ぼくたちはまるで誰も、何も必要ではないかのように振舞っている。
しかし社会経済的な崩壊が現実になるにつれて、お互いを強く必要とするようになる。
今、家族や友人と強い信頼関係を築いておこう。
困難なシチュエーションになったときに助け合うことができるように。
11. 積極的に自分を教育し続け、状況に柔軟に対応できるようにする
世界が安定しているときは物事はほとんど変わらないため、情報に通じていることはそれほど大切ではないかもしれない。
しかし事態が急激に変化しているときは、なにをするべきか知るために、教育を受け、本当の情報を得ることが不可欠となる。
これからの時代には、ぼくたち全員が固定概念に囚われず、柔軟であることが求められるようになる。
そのために常日頃からスキルを磨いておかなければならない。
そうすれば、状況が厳しくなったときにベストを尽くし、適応することができる。
まとめ
脅威に先がけて学ぶことは賢い戦略だ。
先んじて準備をすることができるほど、あなたの家族や愛する人たちは社会経済的な嵐の対極で進んでいくことができる。
しかし日本では予防医学という考え方がなかなか根付かないなど、事態に先がけて動くということが少々苦手なのかもしれない。
人間は認知的負荷がかかりすぎると、みずからの頭で思考することを放棄してしまいがちだ。
しかしそれでは経済的サバイバルなどは到底叶わぬ夢となってしまう。
小さな一歩を踏み出すことに集中し、毎日前進するために小さなことをしていこう。
試合に勝つためには一本のホームランではなく、たくさんのヒットを積み重ねればよいのだ。