FXトレーダーのなかには、
オシレーターのダイバージェンスを
テクニカル分析の聖杯とみなす者がいる。
こういった捉えにくいチャートパターンは事実上
役に立たないと考えるトレーダーもいる。
真相はその間のどこかにあるだろう。
典型的なダイバージェンスの目的は、
価格とオシレーターのあいだの
テクニカルな不均衡を認識することで、
近い将来のトレンド転換のシグナルだと仮定することだ。
以下では、USD/JPYの日足チャートに現れたMACDヒストグラムの
ダイバージェンスによって行われた2つのトレードについて説明していく。
1つめのトレードは夢のような結果となり、
2つめは残念な結果となった。
ダイバージェンス・トレード
図1のUSD/JPYの日足チャートを見れば分かるように、
2006年12月〜2007年はじめにかけて
2つのダイバージェンスシグナルが近くで発生した。
図1 Source:FX AccuCharts
セットアップ
2006年11月〜12月のあいだに発生した初めのシグナル(赤)では、
教科書通りの典型的な強気のダイバージェンスとなった。
レートが大幅な安値の切り下げをしているときに、
MACDヒストグラムは明確な切り上げを見せている。
ダイバージェンスの支持者によると、
この種の価格とオシレーターの不均衡は
レートの反発を予見するものだ。
このケースでは、レートの反発は上方への
方向転換である必要があった。
それがまさに起こった。
チャートから明らかなように、
レートは12月初めに上昇し、
2つめのダイバージェンスが
完了するまでひたすら駆け上がった。
この1つめのダイバージェンスシグナルは
とても強いので、大きなダイバージェンスの
なかに小さなダイバージェンス
(図1の赤の点線)も確認できる。
これはシグナルが長く続くことを
確認するのに役立った。
幸運にも、その後のブル相場は
この明らかなダイバージェンスの
シグナルを発見したことによって捉えることができた。
このダイバージェンスを捉えたトレーダーは、
すぐに含み益となり、大きな報酬を得ることとなった。
トレード
2006年12月中旬〜2007年1月中旬に
発生した2つめのダイバージェンスシグナル(青)は、
教科書通りというわけではない。
MACDヒストグラムの2つのピークに
おける切り下げは誰の目にも明らかだが、
値動きが明確な高値更新というよりは
単なる連続した上昇になっている。
つまり1つめのダイバージェンスに
明確な谷があったようには、2つめの
ダイバージェンスの値動きは
明確な山が見当たらない。
シグナルのこの不完全さが、
直後に起こった芳しくない結果に
つながったかどうかは断言するのがむずかしい。
この2つめのシグナルを捕らえようとした
FXトレーダーは皆、そこから数日から数週間
激しい乱高下に見舞われることになった。
しかし、損切りにかからなかった
辛抱強いトレーダーは、1つめのダイバージェンスと
ほぼ同じぐらいの大きな利益を得られる
ショートの機会に恵まれた。
ダイバージェンス・トレードで勝つ
では、どうすれば利益を最大化しリスクを最小化した
ダイバージェンス取引ができるのだろうか。
まず第一に、ダイバージェンスのシグナルは
すべての時間軸で機能するといって差し支えないが、
より長期のチャート(日足以上)のほうが
より良いシグナルがでる。
エントリーに関しては、
オシレーター・ダイバージェンスでの
期待値の高いトレード機会がやってきた場合、
分割取引をすることでポジションを調整することができる。
これにより、ダイバージェンスシグナルが
すぐにダマシだと判明した場合、
大きな損失を避けることができる。
損切りはノイズで狩られることがなく、
リスクリワードを歪めない位置に置こう。
一方、トレードが有利な展開となったら
意図したポジションサイズに達するまで
拡大を続けることができる。
それ以上モメンタムが続いたら、
勢いがなくなるか、通常の調整よりも
大きなリトレースが起こるまでポジションを保有すべきだ。
勢いが衰えた時点で、分割取引の利益を徐々に
確定しポジションをスケールアウトする。
上記のUSD/JPYで説明した、
第2のダイバージェンスシグナルのように
不安定で方向性のないマーケットが長びくと、
ポジションを閉じてより良いダイバージェンス
トレードを獲りにいけというサインだと考えよう。
まとめ
外国為替市場では、
オシレーターのダイバージェンス・シグナルに
有効性があるといえる。
主要な通貨ペアの最近の動きを見ても、
長期チャート(日足以上)に同様のシグナルが
たくさん現れており、
ダイバージェンスシグナルが有用であるという
具体的な証拠が得られるだろう。