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トレードに真剣に向き合い、スキルとして確立するためにはどうしたらいいのか?を読者の皆さんと一緒に考えていくブログです。 ぼくのトレードひとり反省会もやってます。

優れた投資家は優れたビジネスマンであり、優れたビジネスマンは優れた投資家である。

カテゴリ: 金融

この天文学的数字は、なにか悪いことが起こる前兆か?




爆発的に増えているアメリカの国家債務は、ついに重大な閾値を超えようとしている。

米国財務省によると、連邦政府の負債はぼくがこの記事を書いている現在21,823,094,510,705.58ドル
となっており、このままのペースでいけば来月に22兆2000億ドルに達する見込みだ。

これは恐ろしい国家危機であるが、何も対策は打たれていない。

2008年1月にバラク・オバマがホワイトハウスに入ったとき、
アメリカには10兆6000億ドルの負債があり、11年未満で11.2兆ドルの新規借入れが行われたことを意味する。

言うまでもなく、10年以上にわたり国家債務に年間平均1兆ドル以上を追加しているということを
理解するために数学の天才である必要はない。

しかし借金に対する飽くなき欲求をコントロールするのではなく、
アメリカ連邦議会は支出を加速してしまっている。

現時点では、この結末がハッピーエンドになるというシナリオはありえない。

ここにきて世界的な金融エリートたちは、新たな金融危機の可能性を声高に語り始めた。

たとえばIMF副議長は「嵐雲が立ち込めている」といっている。


国際通貨基金(IMF)の副議長は「世界の金融システムが次の景気後退への準備ができていないにもかかわらず、新たな世界金融危機の嵐雲が立ち込めてきている」と警告した。

IMFの第1DMDであるデイビッド・リプトンは、最近の世界の銀行システム崩壊から10年以上もの間、「危機回避は不完全である」と述べた。

「私たちは "屋根を修理するなら、日が照っているうちに限る。" とよく言うものの、皆さんの多くと同じように、私は嵐雲が立ち込めているのが見える。そして危機回避に関する作業が不完全であることを懸念している。」



CNBCによると、ジャネット・イエレンは「我々は次なる金融危機を抱える可能性がある」と警告している。

イエレンはCUNYで討論したところで、「改善したとは思うが、システムに巨大な穴があると思う。新しく発生する問題に対処するためのツールは素晴らしいとはいえない。」と述べた。

彼女は、FRBによっても言及されたレバレッジド・ローンを懸念事項として引用した。

彼女は、規制当局は金融システム全体ではなく、個々の銀行でこうした問題に取り組むことができると述べた。

現在はブルッキングス研究所の特別研究員である元FRB議長は、未完成の規制の議題が残っていると述べた。

「我々が本来するべき方法で問題に取り組んでいるのかどうかは確信が持てないが、そこには穴があり、規制上の抵抗がある。だから私は新たな金融危機が起こるかもしれないと心配している。」



現時点での真実は、次なる危機はとても近くに迫っており、
誰もがそれを見ることができるはずであるということだ。

では何ができるのだろうか?

テキサスのヘッジファンドマネージャー、カイル・バス氏は、
新たなインフラ支出で1兆ドルが望ましいと言っている

魅力的に聞こえはするが、もうすでに毎年アメリカは国家債務に1兆ドル以上を追加している。

今にも崩れそうなインフラを直すために1兆ドルを費やすとして、
そのお金は一体どこからやってくるのか?

アメリカは、もたらされるよりもはるかに多くのお金を費やしてきており、
かなり長い間それが経済のテコ入れをしてきた。

しかし長期的な問題を次第に悪化させており、
このポンジー・スキームをより長く維持する方法はもう残されていない。

そして大問題は国家債務だけではない。

米国の消費者は13兆ドル以上の借金を抱えており、
新たな報告によるとクレジットカードの借り入れさらに高まっている


最新の調査によると、アメリカ人のクレジットカードの負債残高は記録的だという。

平均的なアメリカ家族は、昨年の6081ドルと比較してリボルビングの借金を約7000ドル抱えている。

金利が上がるにつれて、これらの借金に対応する毎月の支払いも上がる。

今年の報告書はリボルビング債務に焦点を当てており、これは財政難における「より正確な指標」であるためだ、とNerdWalletはまとめた

NerdWalletのクレジットカード専門家のキンバリー・パーマー氏は、「クレジットカードの借金は、非常に多くのアメリカ人のファイナンス上の汚点であり、全くとは言わないまでも簡単に洗い流すことはできない。高い金利と収支を上回る経費が相まって、一部の世帯では負債を完済することができず、実際には引き続き増加する。」と指摘した。



社会は「安い借金」の絶対的な中毒者になってしまっているが、
今や金利が上昇しており、財政的に大きな問題を引き起こしてる。

世界は今直面している債務バブルのようなものに一度も直面したことがなく、
その借金の大部分が金利が低いときに蓄積された。

この時点でシステムは断じて高金利に対処することができず、
マイケル・ペント氏よると「これまでに見たことのない世界不況が起ころうとしている...


ペント氏は「残念ながら、これまでに一度も見たことのない世界的な不況が起ころうとしている。こんなにも多くの人為的に押し下げられた金利で成り立つ負債を抱えたことがないためだ。」

「中央銀行の思いあがりや傲慢さを取り除くには遅すぎるし、彼らは何のおとがめもなく乗り越えられると考えている。完全に間違っている。中央銀行というのはつねに景気後退を引き起こしてきた。我々は世界的な不況に向かっている。」と述べた。




とめ

現況にふさわしくない高い水準の生活を享受するためにローンや借金をすると、
短期的には利点があるかもしれないが、長期的に待っているのは痛みだ

何十年もの間、世界は将来から盗んで現在をもっと楽しくするという選択をとってきた。

しかし今、ぼくたちは自分たちの落ち度によって困った状態に陥ろうとしている。

もしもっと賢明な選択をしていれば状況は違っていたかもしれないが、
残念ながらそれは起こらなかった。

ぼくは何もここで、マスメディアのようにネガティブなことを殊更に
強調してあなたを恐怖に陥れようとしているのではない。

物ごとにはマイナス側面もあれば、必ずプラスの側面もある。

賢明なあなたなら、この機会で資産を築くことができるのだ。

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前回の記事の続きです。



イトレード戦略

トレードには、かなり大きなポジションを
活用するために十分な資本が必要だ。

ほとんどのトレーダーは
中〜高ボラティリティの流動性のある株式や、
インデックスの比較的小さな価格変動でお金を稼ぐ。

ロング(買い)にしてもショート(売り)にしても、
お金を稼ぐには価格変動が必要だ。

ボラティリティが高いほどリスクが高くなり、
より大きな利益と損失の可能性がある。

数百株以上の株式を買うことができないかぎり、
手数料をカバーするだけのお金をトレードで得ることはできない。

株式の価格が低いほど、十分なレバレッジと
総価格の動きを得るために必要な株式が増える。

トレードでの成功の鍵は、エントリー・イグジットポイントを
決定するスキルを開発することだ。

ひとたびそれに慣れてしまえば、
ほとんどのトレーダーは自らが忠実にしたがう
トレードスタイルを構築する。

毎日1つか2つの株式を取引する人もいれば、
お気に入りの小さなバスケットを取引する人もいる。

少数の株式のみを取引する利点は、
さまざまな条件下でそれらがどんな動きをするのか、
そして値動きが主要なマーケットメーカーによって
どう影響されているのかを学ぶことができることだ。





トレードプロセスを開発し、デモトレードに挑戦してみよう。

プロセスを改善し、あなたに合ってうまくいくものを発見しよう。

そうなったときに、本物の資金を投入して
マーケットをアクティブに取引し始めるべきだ。

経験豊富なトレーダーは、取引のセットアップを構成するものと
トリガーを引く前にパターンとインジケーターの組み合わせを明確にする。

感情に左右されずフォーカスを維持するために、
これらのセットアップから逸脱することはめったにない。

ひとたびエントリーしたら、指定した損失の基準値に
達したときにポジションから抜け出すためにストップを置く必要がある。

トレードが間違ったほうに向かっているなら、
お祈りはそれをくつがえすのに役には立たない。

ポジションを閉じれば資本が解き放たれ、
より有望な取引に移っていくことができる。

負け戦はできるだけ早く終了し、
勝ち戦は儲けがあるかぎり乗っていこう。



イトレードでの成功

デイトレーダーの成功率はわずか10%と推定されている。

デイトレードが注目を集めているのは、
その理論が理にかなっていることを示唆しているように見える。

しかし評論家は、もしそうなら少なくとも1人の著名な
マネーマネージャーがシステムを極め、
「デイトレードのウォーレン・バフェット」の称号を
得ているはずだと主張している。

一代で伝説となった投資家のリストには、
デイトレードでその名声を得た個人は含まれていない。

30分〜30日のタイムフレームで取引を行う
マイケル・スタインハートですら、投資の意思決定について
長期的視点をもつと主張した。

経済的な見地から、多くのプロのマネーマネージャーや
ファイナンシャル・アドバイザーは、得られるリワードが
単にリスクを正当化するわけではないと主張し、
デイトレードを避けている。

ということで、もし約90%のデイトレーダーが
お金を失っているなら、一体だれがこの方法で
生計を立てることを期待できるだろう?

その答えは、専門的な訓練、熱心なリサーチ、
洗練された技能、優れた規律、
間違いを認めて損失を減らす能力にある。

ときには不完全で矛盾していて、一瞬で変化する
情報に基づいて、感情を入れない決定を下す
準備ができていなければならない。

統計は、「言うは易く行うは難し」をかなり
はっきりと証明している。



とめ

デイトレードは臆病者のためのものではない。

今回は主に株式を想定したが、
もちろんどんな投資対象にも当てはまる。

勝てる戦略とは、支払能力を超えたトレーディングや
大きな手数料の罠を避けることと、
1日で多くの取引をすることとのトレードオフのなかで
バランスポイントを見つけることだといえる。

あなたが要領を覚えて現実的な目標を設定すれば、
デイトレードは楽しいだけでなく利益をもたらすことができる。

デイトレーダーになることに興味があるなら、
まず初めのステップはあなたのニーズに合うブローカーを選ぶことだ。

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90年代後半のハイテクバブルの絶頂期、
デイトレーダーはインターネット株を売買することで
大きなイージーマネーを得ることができた。

当時、成功するためにスキルはあまり必要なかった。

1998年10月から2000年3月までのわずか17ヶ月のあいだに、
NASDAQ総合指数は1,344あたりから5,132まで飛躍的上昇をみせた。

利益を得るためにしなければならなかったのは、
この大波に乗ることだけだった。

トレーダーの多くは2002年10月に約1,108をつけ、
31ヶ月でその価値の78%を失っときに
同じだけの損失を被った。

ひとたびバブルが完全に弾けると、
イージーマネーは枯渇することとなった。

一時は幸運とタイミングだけで
あぶく銭を手に入れたトレーダーたちは、
取引から身を引き、ほかの職を探した。

彼らは、デイトレードで一貫して生計を立てるには
ほかの専門職と同じように教育とスキルを
必要とすることに気づいたのだ。



イトレーダーとしての資格とは

2001年9月28日、
全米証券業協会(NASD、現在の金融取引業規制機構FINRA)と
ニューヨーク証券取引所(NYSE)はデイトレーダーの定義を修正した。

彼らが使う新しい用語は「パターンデイトレーダー」だ。

投資家は、以下の2つの特性のうち1つを有することで
パターンデイトレーダーとして分類することができる。


1. 5日間で4回以上取引する。ただし、1日の取引の数が
 その同じ5日間のトレード活動の6%を超える場合

2. 投資家が取引を行っているか、新しい口座を開設している会社は、
 その人のことを合理的にトレーダーとみなす


投資家がデイトレーダーとみなされると、
証券会社はその人をこのように分類しなければならず、
投資家は資本要件の引き上げを受ける。

おもに、証券会社は顧客がトレードを始めるとき
最低でも25,000ドル(約280万円)の資本を義務付けている。

この最小資本要件は、証券取引委員会(SEC)
とNYSEによって導入された。

トレーダー自身の資本によって
損失を相殺することを確実にするため、
この要件はレバレッジのかかったトレードによって
証券会社に課せられる固有のリスクに対処する。

より限定されたマージンルールも導入された。

トレーダーは維持証拠金レベルのわずか4倍しか購入することができない。

この水準を超える場合、トレーダーにマージンコールを出す。



イトレードの基礎

純粋なデイトレーダーは、
株式やそのほかの資産を売買し
ポジションをすべて閉じて取引日を終える。

数日間ポジションを持っている場合、スイングトレードと呼ばれる。

ほとんどのトレーダーは、取引スタイルと投資の性質に応じて
両方のアプローチをとる。

トレードには専門のソフトウェアプラットフォームと
高速インターネット接続が必要になる。

独自の取引プラットフォームを設計して構築することもできるが、
ほとんどのトレーダーはブローカーやソフトウェア会社によって
提供されたパッケージ化されたセットアップを使用する。

少なくとも2台のモニター、
できれば4台から6台のモニターを備えた
強力なデスクトップを持つことがベストだ。

売買シグナルを提供するチャートや
テクニカル指標を表示するには、
複数のモニターが必要になる。

証券会社のプラットフォームを使用する場合、
リアルタイムのニュースとデータフィードが
パッケージに含まれていることを確認しよう。

トレンドをしっかりと判断し、
必要な時間枠とトレーディング戦略を描くためには、
そういったデータが不可欠だ。



クニカル指標

株式やマーケットのファンダメンタルズに精通しているだけでは、
トレーダーとして成功するためには十分ではない。

テクニカル分析と、チャートパターン、出来高、
価格動向を分析するために使われる
すべてのツールについて理解しておく必要がある。

より一般的な指標には、支持、抵抗レベル、
移動平均収束発散法(MACD)、ボラティリティー、
価格オシレーター、ボリンジャーバンドなどがある。

これらのインジケーターがどのように働くかを学び
理解することは、個人的なトレードスタイルを確立するために
知る必要のあることのほんの始まりにすぎない。

デイトレードについて
何百もの書籍や何千もの記事が書かれており、
オンラインコースやコンサルティングを受けることができる。


※長くなったので続きは次回。

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株式市場それ自体を、
なにか人間のようなものとして
考えないようにするのはむずかしい。

それは短気から有頂天へ変えてしまうような
空気があるし、急な反応をしたかと思えば、
機嫌が直ったりといった具合だ。

しかし、心理学は金融市場を理解するのに
本当に役立つのだろうか?

実践的な株の銘柄選びの戦略を
提供してくれているだろうか?

行動ファイナンス理論家は
それが可能だと主張している。



動ファイナンスの理念と発見

この分野では、
一般的なファイナンス理論がいうほど
人びとは合理的ではないと主張している。

感情やバイアスが株価をどのように
動かすかに興味がある投資家にとって、
行動ファイナンスは興味深い説明を提供している。

心理学が株式市場の動きを促すという考え方は、
市場が効率的であるという確立された理論を無視している。

効率的市場仮説の支持者は、
企業の価値に関する新しい情報は、
アービトラージのプロセスを通じて
市場によって迅速に価格に反映されると考えている。

インターネットのバブルと
それに続くクラッシュを経験した人にとって、
効率的市場仮説は飲み込むのがとてもむずかしい。

ファイナンス行動主義者は
アノマリーというよりもむしろ、
不合理な行動はよくあることだと説明している。

事実、研究者たちはとても簡単な実験を用いて
市場における行動を再現している。


利益と損失の重要性

ここに、とある実験がある:
確実な5000円を取るか、コイン投げをして
10,000円を勝ち取るか何も得られないかを選べというものだ。

人間はこの状況だと、
確実なものをポケットに入れる可能性が高い。

逆に、確実に5000円を失うか、コイン投げをして
10,000円を失うか何も失わないかを選べという実験をする。

ここではコイン投げを選ぶだろう。

どちらの実験でもコインの裏表がでる可能性は同じだ。

コイン投げがより大きな損失に
つながる可能性があるにもかかわらず、
それでも人間は損失からみずからを救うために
コイン投げを選ぶのだ。

人間はより大きな利益の可能性よりも、
損失を取り戻す可能性を重要視する傾向がある。

損失回避におけるこの優先順位は、
もちろん投資家にも当てはまる。

2000年初めに124ドルから0.47ドルまで株価が急落した、
当時のノーテルネットワークスの株主を考えれば一目瞭然だ。

どんなに価格が下がろうと、
投資家は価格が最終的には戻ってくると信じ、
しばしば株式の保有を続行する。(いわゆる塩漬け)


群れと自己

群衆本能は、人々がなぜ他人を模倣する
傾向にあるのかを説明している。

マーケットが上昇したり下降したりしているとき、
投資家は他の人がより多くの情報を持っているという
不安の支配下に置かれてしまう。

結果として、他の人がやっていることを
模倣する強い衝動に駆られる。
(直近の例の最たるものは暗号通貨)

行動ファイナンスはまた、投資家が
小さなサンプルのデータや
単一のソースから得られた判断に
あまりにも多くの価値を置く傾向があることを発見した。

たとえば、投資家は勝ち銘柄を選び抜くアナリストは
ラッキーではなくスキルによるもとみなす。

一方で、投資家の信念は簡単には揺らがない。

1990年代後半をとおして投資家を支配していた信念は、
市場の急落は買い場だ、というものだった。

実際に、この見方はいまでも浸透している。

ともすると投資家は
みずからの判断について自信過剰になり
「より明白な平均」よりも
「お告げ」のようなものに飛びついてしまう傾向があるのだ。



動ファイナンスはどれほど実用的なのか

ぼくたちはこれらの研究が、
投資家が市場を打ち負かすのに
役立つのかどうかを自分自身にたずねることができる。

結局のところ、ぼくたちの合理的な弱点が
賢い投資家に大きな収益機会を提供する。

しかし実際には、
バリュー投資家が行動ファイナンスの原則を用いて
どの割安銘柄が銀行口座にリターンをもたらすかを
精査しているということはほとんどない。

理論はおおくの合理的な弱点を指摘しているが、
躁鬱マーケットからキャッシュを
叩き出す方法はほとんど提供していない。

1990年代後半は市場がバブルの熱に侵されていたことが、
「投機バブル 根拠なき熱狂」の著者である
ロバート・シラー氏によって示された。

しかし彼はそれがいつ弾けるのかまでは
言うことができなかった。

同様に、今日の行動ファイナンス主義者たちは
マーケットがいつそこを打つのかを教えることまではできない。



とめ

行動ファイナンス主義者はまだ、
マーケットが過去に何をしたのかを説明するだけでなく、
実際に未来を予測する一貫したモデルを提示できていない。

ここでの大きな教訓というのは、
この理論はどうすればマーケットを打ち負かせるかを
ぼくたちに説明しているわけではないということだ。

それよりはむしろ、
市場価格やファンダメンタル価値を長いあいだ
分散させるのは心理学であると教えてくれている。

行動ファイナンスは
投資のミラクルをもたらすわけではないが、
投資家がみずからの行動を監視する方法を提供し、
ぼくたちの富を減らすというミスを避けるのに役立っている。

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ジャンク債(ジャンクボンド、ハイイールド債、高利回り債)について
非常によく知られている点のひとつとして、
2008年のような不況やリセッションにおいて現れる
マーケット環境にとくに弱いということがある。

多くの研究で明らかにされたように、
マーケットにおけるストレスに対するこの脆弱性は、
たしかに投資適格債よりもジャンク債市場のほうが顕著である。

この現象は説明に難くない。

経済が弱まるにつれ企業が資金を確保する機会が
ますます乏しくなり、減った機会への競争は激しさを増す。

このような債務を借りる企業の能力も低下し始める。

こういったすべての条件は、マーケットがストレスを経験すればするほど、
企業は破産や最悪のシナリオを経験することを意味している。


もちろん投資家はこのことを認識している。

当然、ポートフォリオにおけるもっともリスクが高い債券
を売却しはじめる。

これは現金預金比率がもっとも悪い企業の問題を悪化させる。

高利回り債の需要が枯渇することで需要と供給の法則が
はっきりと分かり、
発行体が必要な投資を確保し続けるためには価格を下げざるをえない。



ャンク債のクラッシュ

いわゆるジャンクボンド市場というのは、
おもに過去35〜40年までのことをいう。

1970年代になってこの種の債券が普及しはじめ、
それらを債務証券として使う多数の企業が
新たな発行者クラスとして現れた。



S&L危機(1980年代)

ジャンク債は有名になる過程で、なんども壁にぶち当たっている。

最初の大きな問題は1980年代の悪名高きS&Lスキャンダルだ。

当時、S&L企業はジャンク債に過度な投資をしており、
最終的にその後10年と1990年代におけるジャンク債のパフォーマンス
の大きなクラッシュにつながった。



利回り債市場の崩壊(1989年)

ジャンクボンド市場は1980年代に飛躍的に成長し、
1979年の100億ドルから1989年には1890億ドルに達した。

実に毎年34%以上の増加となった。

この10年間、ジャンク債利回りは平均14.5%、
デフォルト率は2.2%、マーケット全体での年間総利回りは13.7%だった。

しかし1989年にはルドルフ・ジュリアーニをはじめとする政界の動きや、
高利回り債の台頭に先立って企業の信用市場を支配していた人々が
マーケットを一時的に崩壊させ、ドレクセル・バーナムの倒産を招いた。
(ちなみにジャンク債の帝王といわれたドレクセル・バーナムの社員
マイケル・ミルトンがモデルとなっているのが、かの有名な映画
「ウォール街」のゴードン・ゲッコーである。)

この変化は24時間もかからず、基本的に新しいジャンク債は市場から
消滅し、約1年間は回復しなかった。

この結果、投資家はハイイールド市場で4.4%の純損失を計上した。

これは、10年以上の間ではじめてのマイナスのリターンだった。



ットコム崩壊(2000〜2002年)

90年代後半の「ドットコム」ブームのとき、高利回り債券を使って
資金を調達した多くの企業は失敗に終わった。

それとともに、ハイイールド市場は純利益の面で
最悪の方向に転じることとなった。

このクラッシュは、マーケットに破壊工作を行う者や、
たちの悪いS&L投資家のような者によって
引き起こされたのではない。

グローバル市場にリーチできる能力によって
インターネットが”約束”した莫大な利益を夢見た
投資家によってこのクラッシュは起こったのだ。

投資家たちが堅実な計画ではなく、
アイデアに資金を投じた結果、
マーケットは萎縮した。

しかしひとたびこの過ちが解消されると、
投資家はハイイールド市場のより堅実な
選択肢を取り戻し、すばやく回復することができた。

2000〜2002年のあいだ、マーケットのデフォルト平均は9.2%で、
1992〜1999年の期間のほぼ4倍だった。

この期間中、平均トータルリターンはデフォルトや倒産が
未曾有の数に達した2002年に0%まで落ち込んだ。



2007〜2009年の金融危機

サブプライム問題が勃発したとき、
危機に伴う「不良資産」の多くは、
高利回り社債と結びついていた。

ここでのスキャンダルは、
サブプライムやハイイールド債が
「ジャンク格」ではなくAAA格債として
販売されたことから生じている。

危機が発生したとき、高利回り債の価格は下落し、
利回りが急騰した。

ハイイールド債や投機格債への最終利回り(YTM)は
この間に20%以上上昇した。

結果はといえば、ジャンク債のデフォルトの最高件数を更新し、
平均市場金利は2009年の第3四半期に13.4%となった。



とめ

今回見てきた崩壊、ジャンク債市場や流通市場への
打撃にもかかわらず、マーケットは常に回復するようだ。

発行体は今後も、特定の投資家グループや個人投資家が
喜んで買う高利回り債券に変わり続けるだろう。

ジャンク債の永続的な強みは、企業の資本への不変のニーズと、
投資適格債よりも高い投資収益率を求める
投資家の不変の欲望に基づいているのだ。

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