企業価値が10億ドルを超えると評価されているテック企業のIPOは、
ちょっとしたブームのような様相を呈している。
今年、「ユニコーン」と呼ばれるこれらの企業のIPO(新規株式公開)の数は
2000年のドットコム・バブル以来最大である38に急増した。
ウォール・ストリート・ジャーナルのIPO市場ウォッチャーによると、
より弱気相場の警告サインが点灯中の2019年においてもこの数はさらに増える可能性が高い。
PwCの米国IPOサービスリーダーであるデビッド・エスリッジ氏は、次のように述べている。
「問題は、"2019年はどうなんだ"である。根性と勇気がいるが、私は困難なマーケットであっても多くの企業が株式公開に踏み切るという決定を下すと思っている。」
以下は4つの超ビッグネーム、その業界、およびその評価額だ。
個人的にはUber、Airbnb、Slackにはお世話になりっぱなしである。
2019年の巨大テック企業IPO
Uber 運輸 1,200億ドル
Airbnb サービス 310億ドル
Lyft 運輸 150億ドル
Slack ソフトウェア 70億ドル
IPOが予定されている市場ディスラプター
今年のIPO市場は、10億ドルから50億ドルの間で評価される
あまり有名でないソフトウェア会社が多数派を占めていた。
前出のデビッド氏は
「人々はこれらの話をよく知らない。なぜならこれらの会社のアプリは多くの人のスマホにインストールされている訳ではないからだ。しかしとても安定したペースがあり、これを支える強力なIPO市場があった。」と述べた。
2019年のIPO市場は、ぼくたちにもすでにおなじみの会社が名を連ねそうだ。
IPOを検討していると広く知られている名前には、
ライドシェアリングの競合企業であるウーバー(Uber Technologies Inc.)とリフト(Lyft Inc.)、
職場のコミュニケーションアプリ大手のスラック(Slack Technologies Inc.)と
サービス業界のディスラプター 、エアービーアンドビー(Airbnb)がある。
2019年が今年の記録を破ることができるかどうかは、
予想される上場の前にこの成長企業たちが
どれだけの資金を調達できるかにかかっている。
ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレーの見積もりによると、
Uberの市場価値は1,200億ドルにも達するという。
アプリ配車サービス業界のパイオニアは、経営陣の混乱や一連のスキャンダルなどの障害にぶつかっているが、IPOは自律走行車や自転車シェアリングなどの新しい市場への参入を助けるだろう。
Uberは主要市場でLyftとの厳しい競争にも直面している。
Uberの第3四半期単独での売上高30億ドルに対し、
Lyftの2017年の売上高は10億ドル以上、企業価値は150億ドルに見積もられている。
データストレージ企業のドロップボックス(DBX)は2018年3月に
IPO市場におどり出て、ある程度の成功を収めた。
上場時の同社の90億ドルの評価は、2014年の100億ドルというプライベート評価と一致しなかったが、
株価は最高値から50%下落しているもののIPO価格から2%上昇という状況だ。
ドキュサイン(DOCU)と呼ばれる別のソフトウェア会社は堅実なリターンを投資家にもたらした。
このDTMと電子署名の世界標準プラットフォームは、
株式公開価格29ドルから24日の終値で37.48ドルで推移している。
しかし、ガイダンスの最安値にIPO価格を設定した中国版スポティファイのテンセント・ミュージック(TME)は、投資家の失望を買った。
株価は1株当たり13ドルというIPO価格を下回ることとなった。
2019年に残るリスク
つまずく事となった有名ブランドのテンセントは、2019年における危険信号のひとつだろう。
ドットコム・ブームの最盛期、今と同じように超大型テック企業のIPO数が増えたとき、
結局は多くの企業が苦しんだことを忘れないことが大切だ。
同じようなことが2019年、起こるかもしれない。
今回挙げたユニコーンたちはマーケットがよりボラタイルになるリスク、
そうなることで多くの投資家がハイテク・グロース株から離れ、
よりディフェンシブなバリュー株に移るリスクに等しく直面している。