大学卒業はエキサイティングなことではあるが、
奨学金は多くの卒業生が直面している絶大な負担だ。
もっとも、奨学金という耳障りのいい言葉は危機感を持ちにくく、
その正体は学費ローンである。要するに借金だ。
平均的な学生は37,142ドル(約417万円)の借金を背負い卒業している。
医師になるなら207,000ドル(約2,320万円)、
歯科医なら287,331ドル(約3,220万円)に跳ね上がる。
これらはささいな数字とはとても言えず、
富の構築プロセスにおいて大きな足かせとなりうる。
多くの学生がようやく収入を得始めるときにする最初のことは、
できるだけ多くの学生ローンを返済することだ。
彼らは最後のローン支払いを終える栄光の日を夢見ている。
従来のほとんどのファイナンシャル・アドバイザーは、できるだけ早く
学生ローンを返済するようアドバイスするが、ぼくは同意しない。
代わりに、最初の行動指針は、
真の富を構築し始められるような財政的安定の基盤を築くことだ。
あなたの金融ボート
あなたのファイナンシャル・ライフをボートだと想像してほしい。
どんなボートだろうか?
それはあなたのファイナンシャル・ライフがどれほど強靭かにかかっている。
財政がより安定すればするほど、ボートは大きくなる。
もしあなたが多額の学生ローンを抱えた新卒なら、
水で満たされた小さなボートに座っていることになる。
脱出しようと必死に努力するため、沈没することはない。
しかし、波(緊急事態)が来るたびに、さらなる水(借金)が入ってくる。
このサイクルは継続していく。
たとえ進歩して水の総量が減っていっても、波が来るのを見るたびに、その波があなたを
沈没させはしないかと緊張して身構えることになる。
小さなボートを大きく安定したものにして初めて、
来たる波に対処できると確信をもつことができる。
大きなボートなら、たとえ緊急事態が発生しても、追加の水(借金)が
入ってくる可能性は大幅に低くなる。
より大きな金融ボートを構築する方法
より大きなボートを作る方法は、強力な財政基盤をもつことだ。
あなたはこれを、緊急用の資金を作ることによって行うことができる。
いざというときの緊急資金をもつことの利点は、
人生で起こる嵐や波を乗り切る助けになることだ。
車の故障であれ、予期せぬ医療費であれ、あなたのファイナンシャル・ライフ
において不測の事態は起こるものだが、これがあれば厳しい時期を
乗り越えることができるだろう。
こういった貯蓄のバッファがない場合、緊急事態が発生したときには
通常、クレジットカードを利用して追加の負債を負うことを余儀なくされる。
ほとんどのクレジットカードの金利は10%台から始まるが、
これをあてにするのは悪い考えだ。
あなたと家族を保険で守る
富を築くようになると、あなたはそれを守ることの重要性を認識し始めるだろう。
富は、構築するよりも守ることの方がはるかに難しい。
ここが保険の出番となる場所だ。
少なくとも始めるべき保険は以下の通りだ。
・障害保険:このタイプの保険はお金を稼ぐ能力を守る。
雇用主へのあなたの価値を高めるために、たくさんの時間の時間や学校や自分自身に
費やしたなら、自分自身を守るべきだ。
・生命保険:あなたに経済的に依存している家族がいる場合は、
定期生命保険をしっかりと検討する必要がある。
・借家人保険:盗難、火災、水害…これらのことはすべて借りている間に起こりうる。
借家人保険は非常に安価でありながら、たくさんの財産保護を提供している。
投資口座への資金投入を開始する
これは、学生ローンの返済よりも投資によって自動的にもっとお金を作ろう
という意味ではない。
よいお金の習慣を構築しようということだ。
401kや日本版IRAのような正規アカウントの場合、
払い込める金額には年間制限がある。
なので払い込んでいないすべての年は、失われた機会となってしまう。
学生ローン返済への誘惑と戦おう
たしかに多額の債務残高を目にするのは精神的に大変だ。
ぼくにも多額の借金で悩まされた経験がある。
医師や歯科医はとくに、とても大きな学生ローンに悩まされている。
そして多くのお金をできるだけ早く借金の返済に充てることは
抗いがたい魅力がある。
それは理解できる。
もちろんローンを返すことは悪いことではないのだが、
まずはどんな暴風雨にも耐えられるような基盤を構築する必要がある。
日本には奨学金返済と生活費でいっぱいいっぱいの人たちが大勢いる。
月の返済は最小限にし、こういったヒントを参考にし、
高いレベルで流動性資金を維持し、富の構築プロセスを加速させるような
複数のビジネスに投資しよう。(すなわち、より大きなボートを作ろう)
すべてのお金を学生ローン返済にあてるまえに、
以下のどちらがいいか考えてみよう:
小さなボートから耐えず水をかき出し続けるか、
小さなボートを帆船に、帆船を立派なヨットに変えるのか