為替は、飽きることがない。
ぼくのコンサル生にも為替にまったく興味がなかった方が
「世の中にこんなに面白いものがあったなんて」
と目覚めるケースを何度もみているが、これは決して大げさではない。
賢い投資家になりたければ、ここを避けて通ることはできない。
FX(Forex)は、外国為替、外国為替証拠金取引の略だが、
我々が指す実際の資産クラスは - 通貨だ。
日本でFXというと狭義の外国為替証拠金取引を指すことがほとんどだが、
それだけでは本質を見落とすことになる。
あなたが毎日接している「通貨」というものの理解を深めることは、
ひとつの大きなライフハックとなるだろう。
外国為替は通常、観光や商業のためなどさまざまな理由で
ある国の通貨をほかの国の通貨に交換する行為だ。
ビジネスはグローバルなので、ほかの国と特定の通貨で
取引するニーズが存在する。
1971年のブレトン・ウッズ協定の終了後、通貨がほかの通貨に対して
自由にフロートすること(変動相場制)が許さることとなった。
個々の通貨の価値は変化し、外貨サービスの必要性をもたらした。
このサービスは顧客に代わって商業銀行や投資銀行が取り入れたが、
同時に、インターネットを使って通貨ペアを取引する
投機的な環境が提供されることとなった。
ヘッジとしての外国為替
外国でビジネスを営む商業企業は、商品やサービスを他国に売買しなければ
ならない場合、通貨価値の変動によるリスクがある。
したがって、外国為替市場は将来のある時点における取引成立のレートを
フィキシングすることによってリスクをヘッジする方法を提供している。
これを実現するために、トレーダーは先物市場やスワップ市場で通貨を売買できる。
銀行がレートを固定する時間にトレーダーは正確な為替レートを知ることができ、
彼らの会社のリスクを軽減することができるのだ。
ある程度までは、先物市場は取引の規模や実際の通貨に応じて通貨リスクを
ヘッジする手段も提供できる。
先物市場は中央集権的な取引所で運営され、分散型で世界中に存在する
インターバンク市場での先物市場よりも流動性は低い。
投機としての外国為替
金利、貿易の流れ、観光、経済力、地政学的リスクなどの需給要因の
変化による国の通貨価値の間には一定の変動がある。
そのため、ペアの通貨に対する通貨を買ったり売ったりすることで、
これらの価値変動に対してポジションをもつ機会が存在する。
もちろん、あなたが買った通貨が強くなったり、売った通貨が弱くなることを
期待しての行為となる。
資産クラスとしての通貨
資産クラスとしての通貨には2つの目立った特徴がある。
・2つの通貨間の金利差を得ることができる
・為替レートから価値を得ることができる
なぜ我々は通貨をトレードできるのか
インターネットが登場するまで、通貨取引は顧客に代わってインターバンクでの
活動に限定されていた。
次第に銀行自身が独自のプロップ(自己勘定売買)デスクを設置し、その後巨大な
多国籍企業、ヘッジファンド、富裕層(HNWI)が続いた。
インターネットの助けを借りて、個人トレーダーを対象としたリテール市場が登場し、
銀行自体やセカンダリーマーケット(流通市場)を作るブローカーを通して、外為市場への
容易なアクセスを提供できることとなった。
外国為替取引のリスク
通貨をトレードすることは、その複雑さゆえにリスクに関する混乱を
引き起こす可能性がある。
インターバンク市場が規制されておらず、監視の欠如によって非常にリスクが高い
ことについて、多くのことが言われている。
この認識はすべてが真実というわけではない。
リスクの議論に対するよりよいアプローチは、分散型市場と集中型市場の違いを理解し、
どこを規制するのが適切かを見極めることだ。
インターバンク市場は、世界中でお互いを取引しているいくつかの銀行によって
構成されている。
銀行自身がソブリンリスクと信用リスクを決め、受け入れる必要があり、それらを
可能な限り安全にするために多くの内部監査プロセスが必要だ。
規制は各参加銀行の保護のために業界が課している。
特定の通貨に対してビッドやオファーを提供する参加銀行それぞれによって市場が
作られるので、市場価格決定のメカニズムは需要と供給に由来する。
このシステム内の流れは巨大なため、不正を働くトレーダーが通貨の価格に影響を及ぼす
ことはほぼ不可能だ。
今日の出来高の大きな市場では、1日に2兆〜3兆ドルの取引が行われているが、
中央銀行でさえ、他の中央銀行の全面的な協力がなければ市場を動かすことはできない。
買い手と売り手を集中型市場へ導き、価格により透明性を持たせるために
電子取引ネットワーク(ECN)を構築しようとする試みが行われている。
これは、より競争力のある価格設定と集中型の流動性によって利益を得られる
リテールトレーダーにとってポジティブな動きだ。
もちろん、銀行はこの問題を抱えておらず、分散型のままでいることができる。
外為銀行への直接アクセスができるトレーダーは、比較的小規模で規制されていない
FXブローカーと取引するリテールトレーダーよりも露出は少ない。
そしてこのFXブローカーというのは、リクオートや自身の顧客への注文へぶつけたり、
呑んだりすることが可能であり、ときには故意に行うのだ。
(これが日本人のほとんどが陥るFXの深い闇)
FXが成功まちがいなしの利益獲得スキームだと信じてしまう洗練されていない
リテールトレーダーを保護するため、規制に関する議論が生じたようだ。
今日では、真剣でしっかりと学ぶ気があるリテールトレーダー(これをここまで読んだ
あなたもそうかもしれない)には、多くの大手銀行やより大規模で、流動性のある
ブローカーに口座を開設する機会が開かれている。
金融投資の場合と同様に、「買主をして注意せしめよ」という買主の危険負担ルールを
覚えておこう。
※長くなったので、明日は初心者ガイドパート2を執筆します。