トレーダーと投資家の役割




多くの人が「トレード」と「投資」という言葉を混同して使っているが、
この2つは実際にはとても異なる活動である。

トレーダーと投資家は同じマーケットに参加しているものの、
まったく違った戦略でタスクを実行している。

とくにトレーダーは世の中の誰の役にも立っていないなどと
的外れな批判をされることもあるが、市場が円滑に機能するためには両方の役割が必要だ。

今回は両者について、そして双方がマーケットで利益を上げるために使う
戦略について書いていこう。



資家とは

投資家は、一般的には株式市場に関連した市場参加者のことだ。

将来の見通しが強いと考え、長期的な視野で会社の株式を購入する。

投資家は通常、次の2点に関心をもつ。

・価値:投資家は、企業の株式が良好な価値を示すかどうかを検討しなければならない。
たとえば、2つの似た企業が異なったアーニング・マルチプルで取引している場合、低い方がより価値が高いだろう。これはB社の収益1ドルへのエクスポージャーを得るために必要なものに比べて、A社に投資する際に収益1ドルのための支払いが低いことを示唆しているためだ。

・成功:投資家は、財務の健全性を見て将来のキャッシュフローを評価することによって、将来の成功を測らなければならない。

これらの要因はどちらも、将来の成長見通しを定義する業界の動向を見ながら、
企業の財務諸表の分析を通じて決定することができる。

基本的なレベルでは、投資家はPEGレシオなどの指標を調べることによって、
将来の成長可能性に対して企業の現在価値を測定することができる。



要な投資家はだれか

市場には多くのアクティブな投資家がいる。

実際、市場で稼働している資金の大半は投資家に属している。
(1日あたり出来高と混同しないでほしい。これは
トレーダーによるものだ。

主要な投資家は以下のとおり。

投資銀行:投資銀行は、企業の株式公開や資金調達を支援する組織だ。
これには少なくとも証券の一部を長期にわたって保有することが含まれる。


ミューチュアルファンド:個人の多くは特定の基準を満たす企業に長期投資を行うミューチュアルファンドに資金を投じている。ミューチュアルファンドは法律によってトレーダーではなく投資家として行動することが求められている。

機関投資家大企業の株式を大口保有する組織や人のことだ。機関投資家には、企業のインサイダー、自身をヘッジする競合、特別な機会の投資家が含まれる。

リテール投資家:リテール投資家は、個人口座のために株式市場に投資する個人だ。はじめは、リテール投資家の影響は小さいように思われたが、時間がたつにつれてより多くの人がポートフォリオをコントロールするようになり、結果としてこのグループの影響力が増している。



レーダーとは

トレーダーは、会社のファンダメンタルズではなくマーケットそのものに焦点を当てて
企業の株式を購入するマーケット参加者である。

コモディティーを取引する市場は、トレーダーによく適している。

結局のところ、その基本的な品質のために小麦を購入する人はほとんどおらず、
供給と需要の結果として起こる小さな価格の動きを利用している。

トレーダーは通常、次の点に関心をもつ。

・価格パターン:トレーダーは過去の値動きを将来の価格変動を予測するために見る。
これはテクニカル分析と呼ばれている。

・需要と供給:トレーダーはイントラデイの取引を注意深く監視して、お金がどこで動いているのか、そしてその理由を探る。

・市場の感情:トレーダーは大きな動きが起こったあと、群衆に対してベットする逆張りのような技術を通して投資家の恐怖を利用する。

・クライアントサービスマーケットメーカー(もっとも規模の大きいトレーダーのひとつ)は、迅速な取引を通じて流動性を提供するために、顧客に雇われる。

突き詰めると、トレーダーは投資家に流動性を提供し、つねに取引のもう一端を担っている。

マーケットメイクであろうと逆張りであろうと、トレーダーは市場に欠かせない役割だ。



要なトレーダーはだれか

出来高においては、投資家よりも断然トレーダーのほうが大きい。

数秒ごとに頻繁に取引できるトレーダーにはさまざまな種類がある。

もっとも一般的なトレーダーのタイプは以下がある。

・投資銀行:長期投資のために保有されていない株式は売却される。
IPOの過程で、投資銀行はトレードを通じて公開市場での株式の売却を担当している。

・マーケットメーカー:市場において流動性を提供することに貢献しているグループ。
顧客に課される手数料と一緒に、BidとAskのスプレッドを通じて利益が作られる。
最終的に、このグループはすべての市場に流動性を提供している。

・アービトラージファンドアービトラージファンドは、市場の非効率性をすばやく利用するグループ。たとえば合併が発表された直後に、株価はつねに新しい買収価格からリスクプレミアムを引いたものにすぐに移行する。こういった取引はアービトラージャーにより実行される。

プロップトレーダー/ファーム:ぼくのポートフォリオのひとつでもあり、日本ではほとんど認知されていないプロップトレーダーは、短期の取引を通じてお金を稼ぐために企業に雇われる。長期投資よりも短期的な利益を複利で積み上げてより多くの資金を作り出すために、独自の取引システムや技術を使っている。



とめ

マーケットが適切に機能するためには
トレーダーと投資家の両方が必要であることは明らかである。

トレーダーがいなければ、投資家は売買する流動性がない。

投資家がいなければ、トレーダーは売買する根拠がない。

このように、両グループは金融市場というものを形成しているのだ。